は弟たちのほうに多くて、この人は深く落ち着いた静かな風采《ふうさい》によさのあった人であるが、今日はことにおとなしい身のとりなしで侍している姿を、内親王の配偶者として見ても相応らしい男であるが、その関係の正しくないのが不快だ、憎悪《ぞうお》を覚えずにはおられないのであると院は思召したが、さりげなくしておいでになった。
「機会がなくてあなたにも長く逢《あ》いませんでしたね。長く病人の介抱をしていて何の余裕もなくてね、前からここへ来ておいでになる宮が、院の賀に法事をして差し上げたいと言っておられたのが、いろいろな故障で滞っていてね、今年も暮れになったので、これ以上延ばすこともできず、以前に計画したとおりのことはととのわないが、形だけでも精進のお祝い膳《ぜん》を差し上げる運びになって、賀宴などというとたいそうだが、親戚《しんせき》の子供たちの数がたくさんにもなっているのだから、それだけでも御覧に入れようと思って舞の稽古《けいこ》などをさせ始めたものだから、せめてそれだけでもうまくゆくようにと思って、拍子が合うか試してみるのですが、指導をしていただくのに、だれがよいかともよく考える間がなくてあ
前へ
次へ
全127ページ中117ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
紫式部 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング