めて小さくて、幼い人といってもあまりにまでお子供らしいのである。紫の女王を二条の院へお迎えになった時と院は思い比べて御覧になっても、その時の女王は才気が見えて、相手にしていておもしろい少女《おとめ》であったのに、これは単に子供らしいというのに尽きる方であったから、これもいいであろう、自尊心の多過ぎず出過ぎたことのできない点だけが安心であると、院はつとめて善意で見ようとされながらも、あまりに言いがいのない新婦であるとお歎《なげ》かれになった。
三日の間は続いてそちらへおいでになるのを、今日までそうしたことに馴《な》れぬ女王であったから、忍ぼうとしても底から底から寂しさばかりが湧《わ》いてきた。新婚時代の新郎の衣服として宮のほうへおいでになる院のお召し物へ女房に命じて薫香《たきもの》をたきしめさせながら、自身は物思いにとらわれている様子が非常に美しく感ぜられた。何事があっても自分はもう一人の妻を持つべきではなかったのである。この問題だけを謝絶しきれずに締まりがなく受け入れた自分の弱さからこんな悲しい思いをすることにもなったと、院は御自身の心が恨めしくばかりおなりになって、涙ぐんで、
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