て、ちょっとした殿上役人などは及ばない者がいますよ」
と源氏が言うのを聞いていて、女房たちは今日の競技を見物のできることを喜んだ。玉鬘のほうからも童女などが見物に来ていて、廊の戸に御簾《みす》が青やかに懸《か》け渡され、はなやかな紫ぼかしの几帳《きちょう》がずっと立てられた所を、童女や下仕えの女房が行き来していた。菖蒲《しょうぶ》重ねの袙《あこめ》、薄藍《うすあい》色の上着を着たのが西の対の童女であった。上品に物馴《ものな》れたのが四人来ていた。下仕えは樗《おうち》の花の色のぼかしの裳《も》に撫子《なでしこ》色の服、若葉色の唐衣《からぎぬ》などを装うていた。こちらの童女は濃紫《こむらさき》に撫子重ねの汗袗《かざみ》などでおおような好みである。双方とも相手に譲るものでないというふうに気どっているのがおもしろく見えた。若い殿上役人などは見物席のほうに心の惹《ひ》かれるふうを見せていた。午後二時に源氏は馬場殿へ出たのである。予想したとおりに親王がたもおおぜい来ておいでになった。左右の組み合わせなどに宮中の定例の競技と違って、中少将が皆はいって、こうした私の催しにかえって興味のあるものが見ら
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