蘆声
幸田露伴
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)距《さ》る
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)心身|共《とも》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)毎日※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]
[#(…)]:訓点送り仮名
(例)上[#(ゲ)]下[#(ゲ)]
−−
今を距《さ》ること三十余年も前の事であった。
今において回顧すれば、その頃の自分は十二分の幸福というほどではなくとも、少くも安康《あんこう》の生活に浸《ひた》って、朝夕《ちょうせき》を心にかかる雲もなくすがすがしく送っていたのであった。
心身|共《とも》に生気に充ちていたのであったから、毎日※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]の朝を、まだ薄靄《うすもや》が村の田の面《も》や畔《くろ》の樹《き》の梢《こずえ》を籠《こ》めているほどの夙《はや》さに起出《おきで》て、そして九時か九時半かという頃までには、もう一家の生活を支
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