つ》の心を生ず。これであるから余りに鄭重《ていちょう》な供養を提出された時に、恵心が其の燦爛《さんらん》たる膳部に対して「かくては余りに見ぐるし」と云ったのも無理はないことで、ぴかぴかきらきらしたものを「見ぐるしい」としたのは流石《さすが》に恵心であった。其の恵心の弟子同様の寂照である。これは三河守だった昨日に引かえて、今日は見るかげも無い青道心である。次第《しだい》乞食は之を苦しいとはせぬであったろうが、かなり苦しいことでもあったろう。次第乞食とは、良い家も貧しい家も撰《えら》まず、鉢を持して次第に其門に立って食《し》を乞うのである。或日の事寂照は師の恵心の如く頭陀行《ずだぎょう》をした。一鉢三衣《いっぱつさんえ》、安詳に家々の前に立って食を乞うたのである。すると一軒の家に喚《よ》び入れられた。通って見ると、食物を体よくして「庭に畳を敷きて、供養しようとしたのである。何の心も無く其畳に居て、唱え言をして食わんとした。其時そこに向いて下《おろ》してあった簾《すだれ》を捲上《まきあ》げたので、そなたを見ると、好き装束した女の姿が次第にあらわれた。簾は十分に上げられた。誰に言うたのか、女は
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