ほどでは無いが、硬粥《かたがゆ》が煮えるときにブツブツと小さな泡が立っては消え、消えては復《また》立つというような、取留めのない平らかならぬものが腹中に間断なく起滅するのを免れなかったことだったろう。そこで右衛門は遂に夫の匡衡に委曲を語って、定基の近状の良くないことを云い、其妻のあわれなことを告げ、何とかしてやって欲しいことを訴えた。男は男で、他《ひと》の斯様《こん》なことには取合いたがらぬものである。匡衡は一応はただ其儘《そのまま》に聞流そうとした。しかし右衛門は巧みに物語った。匡衡はここで取合わずに過して了えば、さも自分も定基と同じような場合にあっては吾が妻に対して冷酷である男のように、自分の妻から看做《みな》さるるであろうかのように感じずには居られなかったであったろう。そこで定基に対してよりは、自分の妻に対しての感じから動き出して、よし、それでは折を見て定基に話ししよう、ということになった。匡衡と右衛門との間は実に仲が好かったのであった。
男と女との間の※[#「目+癸」、第4水準2−82−11]《そむ》きあったところへ口を出すほど危険なことは無い。もし其男女の仲が直れば、後《あ
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