くとも魔法くさいことを信受していたかが知られる。今|一※[#二の字点、1−2−22]《いちいち》例を挙げていることも出来ないが、大概日本人の妄信はこの時代に※[#「酉+榲のつくり」、第3水準1−92−88]醸《うんじょう》し出されて近時にまで及んでいるのである。
大体の談《はなし》は先ずこれまでにして置く。
我国で魔法の類の称《しょう》を挙げて見よう。先ず魔法、それから妖術、幻術、げほう、狐つかい、飯綱《いづな》の法、荼吉尼《だきに》の法、忍術、合気《あいき》の術、キリシタンバテレンの法、口寄せ、識神《しきじん》をつかう。大概はこれらである。
これらの中《うち》、キリシタンの法は、少しは奇異を見せたものかも知らぬが、今からいえば理解の及ばぬことに対する怖畏《ふい》よりの誇張であったろう。識神を使ったというのは阿倍晴明《あべせいめい》きりの談になっている。口寄せ、梓神子《あずさみこ》は古い我邦の神おろしの術が仏教の輪廻《りんね》説と混じて変形したものらしい。これは明治まで存し、今でも辺鄙《へんぴ》には密《ひそか》に存するかも知れぬが、営業的なものである。但しこれには「げほう」が連絡
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