突貫紀行
幸田露伴
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)疾《やまい》あり
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)一|行李《こうり》の書を典し
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「榮」の「木」に代えて「糸」、第3水準1−90−16、90−2]回《えいかい》せる
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身には疾《やまい》あり、胸には愁《うれい》あり、悪因縁《あくいんねん》は逐《お》えども去らず、未来に楽しき到着点《とうちゃくてん》の認めらるるなく、目前に痛き刺激物《しげきぶつ》あり、慾《よく》あれども銭なく、望みあれども縁《えん》遠し、よし突貫してこの逆境を出《い》でむと決したり。五六枚の衣を売り、一|行李《こうり》の書を典し、我を愛する人二三にのみ別《わかれ》をつげて忽然《こつぜん》出発す。時まさに明治二十年八月二十五日午前九時なり。桃内《ももない》を過ぐる頃《ころ》、馬上にて、
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きていたるものまで脱《ぬ》いで売りはてぬ
いで
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