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西 餅屋は餅屋
[#ここから2字下げ、小さい活字]
 東のは薫染の力の大なるをいひ、西のは当業の技の優れたるを云へる、意は異なれど、勝劣無きに近し。
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東 せに腹はかへられぬ
西 雪隠で饅頭
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 東のは、親は疎に代ふる能はざるを云ひ、西のは自利の念の甚しきや陋醜唾棄すべきの事を敢てするに至るを嘲れるなり。西のの諺、痛刻ならざるにあらず、たゞ其の狠毒《こんどく》の極汚穢を諱まざるを病む。
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東 粋が身をくふ
西 雀百まで躍りやまず
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 才有り行無くして路花《ろか》墻柳《しやうりう》の間に嬉笑するもの、多くは自ら悦び自ら損ずるを悲めるは東の方の諺にして、※[#「還」の「しんにゅう」に代えて「けものへん」、読みは「けん」、164−17]薄《けんはく》乖巧《くわいかう》の人の其性改まらずして、老に至つて猶紅灯緑酒の間に※[#「遍」の「しんにゅう」に代えて「あしへん」、読みは「へん」、164−17]※[#「遷」の「しんにゅう」に代えて「
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