趣致あり。橋の下流、佃島石川島月島の一大島をなして横たはるあり。こはいはゆる三角洲に人為の修築を加へたるものにして、これがために川おのづから分岐して海に入るの勢を生ず。
○三ッ叉の名はこれより起り、一は築地に沿ひて西南に流れ、一は越中島に沿ひて東南に流る。西南に流るゝは即ち本流にして
○本澪と呼ばる。本澪は水深くして大船海舶の来り泊するもの甚だ多し。永代橋より下流は川幅甚だ濶く、かつ上に説けるが如く分岐して二となるを以て、便宜上先づ西流東流の二つに分ちて記すべし。先づ西岸の方より記せば、永代橋より下流幾許ならずして西に入るの一小渠あり、三の橋二の橋一の橋の三ツの橋の下を過ぎて亀島橋下を流るゝ一水に会す。
○大川口の渡はこの小渠の下に当りて、深川と越前堀との間を連結す。渡船場より下、町余にして二水の北西より来るを見る。その右なるは高橋下の流れにして即ち亀島橋下より来るもの、その左なるは即ち
○京橋下の流れなり。京橋下の一流は御濠の鍛冶橋南より比丘尼橋紺屋橋を経て来り、京橋の東炭谷橋白魚橋の下に出で、こゝにて南は真福寺橋下より来る一水と会し、北は兜橋より弾正橋下を経来れる一水と会し、桜橋東
前へ
次へ
全32ページ中26ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
幸田 露伴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング