《かん》に利を得る者があれば、それは即ち営業税を払っている商売人でなければならぬ。商売人は年期を入れ資本を入れ、海千山千の苦労を積んでいるのである。毎日※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]真剣勝負をするような気になって、良い物、悪い物、二番手、三番手、いずれ結構|上※[#二の字点、1−2−22]《じょうじょう》の物は少い世の中に、一[#(ト)]眼|見損《みそこな》えば痛手を負わねばならぬ瀬に立って、いろいろさまざまあらゆる骨董相応の値ぶみを間違わず付けて、そして何がしかの口銭を得ようとするのが商売の正しい心掛《こころがけ》である。どうして油断も隙《すき》もなりはしない。波の中に舟を操っているようなものである。波瀾重畳《はらんちょうじょう》がこの商買の常である。そこへ素人《しろうと》が割込んだとて何が出来よう。今この波瀾重畳険危な骨董世界の有様を想見《そうけん》するに足りる談《はなし》をちょっと示そう。但しいずれも自分が仮設《かせつ》したのでない、出処《しゅっしょ》はあるのである。いわゆる「出《で》」は判然《はっきり》しているので、御所望ならば御明かし申して宜《よ
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