−22]は甚《はなは》だ少くないが、時に気の毒な目を見るのもそういう人※[#二の字点、1−2−22]で、悪気はなくとも少し慾気《よくけ》が手伝っていると、百貨店で品物を買ったような訳ではない目にも自業自得で出会うのである。中には些《ちと》性《しょう》が悪くて、骨董商の鼻毛を抜いていわゆる掘出物《ほりだしもの》をする気になっている者もある。骨董商はちょっと取片付《とりかたづ》けて澄ましているものだが、それだって何も慈善事業で店を開いている訳ではない、その道に年期を入れて資本を入れて、それで妻子を過《すご》しているのだから、三十円のものは口銭《こうせん》や経費に二十円|遣《や》って五十円で買うつもりでいれば何の間違《まちがい》はないものを、五十円のものを三十円で買う気になっていては世の中がスラリとは行かない。五円のものを三十円で売附けられるようなことも、罷《まか》り間違えば出来ることになる道理だ。それを弥《いや》が上にもアコギな掘出し気《ぎ》で、三円五十銭で乾山《けんざん》の皿を買おうなんぞという図※[#二の字点、1−2−22]《ずうずう》しい料簡を腹の底に持っていたとて、何の、乾也《けん
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