※[#二の字点、1−2−22]の神慮をすずしめ奉《たてまつ》る御神楽《おかぐら》の一座にも相成る訳だ。
が、それはそれでよいとして、年寄でもなく、二才《にさい》でもなく、金持でもなく、文無しでもない、いわゆる中年中産階級の者でも骨董を好かぬとは限らない。こういう連中は全く盲人《めくら》というでもなく、さればといって高慢税を進んで沢山納め奉るほどの金も意気もないので、得《え》て中有《ちゅうう》に迷った亡者のようになる。ところが書画骨董に心を寄せたり手を出したりする者の大多数はこの連中で、仕方がないからこの連中の内で聡明でもあり善良でもある輩《やから》は、高級骨董の素晴らしい物に手を掛けたくない事はないが、それは雲に梯《かけはし》の及ばぬ恋路みたようなものだから、やはり自分らの身分相応の中流どころの骨董で楽しむことになる。一番聡明善良なるものは分科的専門的にして、自分の関係しようとする範囲をなるべく狭小にし、そして歳月をその中で楽しむ。いわゆる一[#(ト)]筋を通し、一[#(ト)]流れを守って、画《え》なら画で何派の誰を中心にしたところとか、陶器なら陶器で何窯《なにがま》の何時《いつ》頃
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