の宝珠は空に得読めぬ字を書き、岩をも転ばすべき風の突っかけ来たり、楯をも貫くべき雨のぶつかり来るたび撓《たわ》む姿、木の軋《きし》る音、復《もど》る姿《さま》、また撓む姿、軋る音、今にも傾覆《くつがえ》らんず様子に、あれあれ危し仕様はなきか、傾覆られては大事なり、止むる術《すべ》もなきことか、雨さえ加わり来たりし上|周囲《まわり》に樹木もあらざれば、未曽有の風に基礎《どだい》狭くて丈のみ高きこの塔の堪《こら》えんことのおぼつかなし、本堂さえもこれほどに動けば塔はいかばかりぞ、風を止むる呪文はきかぬか、かく恐ろしき大暴風雨《おおあらし》に見舞いに来べき源太は見えぬか、まだ新しき出入りなりとて重々来ではかなわざる十兵衛見えぬか寛怠《かんたい》なり、他《ひと》さえかほど気づかうに己《おの》がせし塔気にかけぬか、あれあれ危しまた撓んだわ、誰か十兵衛|招《よ》びに行け、といえども天に瓦飛び板飛び、地上に砂利の舞う中を行かんというものなく、ようやく賞美の金に飽かして掃除人の七蔵爺《しちぞうじじ》を出しやりぬ。

     其三十三

 耄碌頭巾《もうろくずきん》に首をつつみてその上に雨を凌《しの》
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