《きれい》にしようよ、アハハハと笑えばお吉も笑いながら、そうしたらまた不潔不潔と厳しくお叱《いじ》めなさるか知れぬ、と互いに二ツ三ツ冗話《むだばな》しして後、お吉少しく改まり、清吉は眠《ね》ておりまするか、どういう様子か見てもやりたし、心にかかれば参りました、と云えば鋭次も打ち頷《うなず》き、清は今がたすやすや睡《ね》ついて起きそうにもない容態じゃが、疵《きず》というて別にあるでもなし頭の顱骨《さら》を打ち破《わ》ったわけでもなければ、整骨医師《ほねつぎいしゃ》の先刻《さっき》云うには、ひどく逆上したところを滅茶滅茶に撲《う》たれたため一時は気絶までもしたれ、保証《うけあい》大したことはない由、見たくばちょっと覗《のぞ》いて見よ、と先に立って導く後につき行くお吉、三畳ばかりの部屋の中に一切夢で眠り居る清吉を見るに、顔も頭も膨《は》れ上りて、このように撲《う》ってなしたる鋭次の酷《むご》さが恨めしきまで可憫《あわれ》なる態《さま》なれど、済んだことの是非もなく、座に戻って鋭次に対《むか》い、我夫《うち》では必ず清吉がよけいな手出しに腹を立ち、お上人様やら十兵衛への義理をかねて酷く叱るか出
前へ
次へ
全143ページ中117ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
幸田 露伴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング