り上《のぼ》せては分別のなくなる困った奴《やっこ》で、ハイハイ、悪気は夢さらない奴《やつ》でござります、ハイハイそれは御存知で、ハイありがとうござります、どういう筋で喧嘩をいたしましたか知りませぬが大それた手斧《ちょうな》なんぞを振り舞わしましたそうで、そうききました時は私が手斧で斫られたような心持がいたしました、め組の親分とやらが幸い抱き留めて下されましたとか、まあせめてもでござります、相手が死にでもしましたら彼《あれ》めは下手人、わたくしは彼を亡くして生きて居る瀬はござりませぬ、ハイありがとうござります、彼めが幼少《ちいさい》ときはひどい虫持で苦労をさせられましたも大抵ではござりませぬ、ようやく中山の鬼子母神様の御利益《ごりやく》で満足には育ちましたが、癒《なお》りましたら七歳《ななつ》までにお庭の土を踏ませましょうと申しておきながら、ついなにかにかまけてお礼参りもいたさせなかったその御罰か、丈夫にはなりましたがあの通りの無鉄砲、毎々お世話をかけまする、今日も今日とて鉄五郎様がこれこれと掻《か》い摘《つま》んで話されました時の私のびっくり、刃物を準備《ようい》までしてと聞いた時には
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