背負って行ってやろう、十兵衛が肩の疵《きず》は浅かろうな、むむ、よしよし、馬鹿どもさようなら。
其二十六
源太居るかとはいり来たる鋭次を、お吉立ち上って、おお親分さま、まあまあ此方《こち》へと誘《いざな》えば、ずっと通って火鉢の前に無遠慮の大胡坐《おおあぐら》かき、汲んで出さるる桜湯を半分ばかり飲み干してお吉の顔を視、面色《いろ》が悪いがどうかしたか、源太はどこぞへ行ったのか、定めしもう聴いたであろうが清吉めがつまらぬことをしでかしての、それゆえちょっと話があって来たが、むむそうか、もう十兵衛がところへ行ったと、ハハハ、敏捷《すばや》い敏捷い、さすがに源太だわ、我《おれ》の思案より先に身体がとっくに動いて居るなぞは頼もしい、なあにお吉心配することはない、十兵衛と御上人様に源太が謝罪《わび》をしてな、自分の示しが足らなかったで手下《て》の奴がとんだ心得違いをしました。幾重《いくえ》にも勘弁して下されと三ツ四ツ頭を下げれば済んでしまうことだわ、案じ過しはいらぬもの、それでも先方《さき》がぐずぐずいえば正面《まとも》に源太が喧嘩を買って破裂《ばれ》の始末をつければよいさ、薄々
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