五重塔
幸田露伴
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)木理《もくめ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二綜|後《おく》れ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「虫+廷」、第4水準2−87−52]
[#(…)]:訓点送り仮名
(例)一[#(ト)]綜
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其一
木理《もくめ》美《うるわ》しき槻胴《けやきどう》、縁にはわざと赤樫《あかがし》を用いたる岩畳作りの長火鉢《ながひばち》に対《むか》いて話し敵《がたき》もなくただ一人、少しは淋《さび》しそうに坐《すわ》り居る三十前後の女、男のように立派な眉《まゆ》をいつ掃《はら》いしか剃《そ》ったる痕《あと》の青々と、見る眼も覚《さ》むべき雨後の山の色をとどめて翠《みどり》の匂《にお》いひとしお床しく、鼻筋つんと通り眼尻《めじり》キリリと上り、洗い髪をぐるぐると酷《むご》く丸《まろ》めて引裂紙《ひっさきがみ》をあしらいに一本簪《いっぽんざし》でぐいと留《とど》めを刺した色
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