一寸話があつて来たが、むゝ左様か、既十兵衞がところへ行つたと、ハヽヽ、敏捷《すばや》い/\、流石に源太だは、我の思案より先に身体が疾《とつく》に動いて居るなぞは頼母しい、なあにお吉心配する事は無い、十兵衞と御上人様に源太が謝罪《わび》をしてな、自分の示しが足らなかつたで手下《て》の奴が飛だ心得違ひを仕ました、幾重にも勘弁して下されと三ツ四ツ頭を下げれば済んで仕舞ふ事だは、案じ過しはいらぬもの、其でも先方《さき》が愚図※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]いへば正面《まとも》に源太が喧嘩を買つて破裂《ばれ》の始末をつければ可いさ、薄※[#二の字点、1−2−22]聴いた噂では十兵衞も耳朶の一ツや半分|斫《き》り奪られても恨まれぬ筈、随分清吉の軽躁行為《おつちよこちよい》も一寸をかしな可い洒落か知れぬ、ハヽヽ、然し憫然《かはいそ》に我の拳固を大分食つて吽※[#二の字点、1−2−22]《うん/\》苦しがつて居るばかりか、十兵衞を殺した後は何様始末が着くと我に云はれて漸く悟つたかして、噫悪かつた、逸り過ぎた間違つた事をした、親方に頭を下げさするやうな事をした歟|噫《あゝ》済
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