やぞうちやうてん》、北方毘沙門多聞天王《ほつぱうびしやもんたもんてんわう》、四天にかたどる四方の柱千年万年|動《ゆる》ぐなと祈り定むる柱立式《はしらだて》、天星色星多願《てんせいしきせいたぐわん》の玉女三神、貪狼巨門《たんらうきよもん》等北斗の七星を祭りて願ふ永久安護、順に柱の仮轄《かりくさび》を三ツづゝ打つて脇司《わきつかさ》に打ち緊めさする十兵衞は、幾干《いくそ》の苦心も此所まで運べば垢穢《きたなき》顔《かほ》にも光の出るほど喜悦《よろこび》に気の勇み立ち、動きなき下津盤根《しもついはね》の太柱と式にて唱ふる古歌さへも、何とはなしにつく/″\嬉しく、身を立つる世のためしぞと其|下《しも》の句を吟ずるにも莞爾《にこ/\》しつゝ二度《ふたたび》し、壇に向ふて礼拝|恭《つゝし》み、拍手の音清く響かし一切成就の祓を終る此所の光景《さま》には引きかへて、源太が家の物淋しさ。
主人は男の心強く思ひを外には現さねど、お吉は何程さばけたりとて流石女の胸小さく、出入るものに感応寺の塔の地曳の今日済みたり柱立式《はしらだて》昨日済みしと聞く度ごとに忌※[#二の字点、1−2−22]敷、嫉妬の火炎《ほむ
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