ハヽヽと笑へばお吉も笑ひながら、左様したらまた不潔※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]と厳敷《きびしく》御叱《おいぢ》めなさるか知れぬ、と互ひに二ツ三ツ冗話《むだばな》し仕て後、お吉少しく改まり、清吉は眠《ね》て居りまするか、何様いふ様子か見ても遣りたし、心にかゝれば参りました、と云へば鋭次も打頷き、清は今がたすや/\睡着《ねつ》いて起きさうにも無い容態ぢやが、疵といふて別にあるでもなし頭の顱骨《さら》を打破つた訳でもなければ、整骨医師《ほねつぎいしや》の先刻云ふには、烈《ひど》く逆上したところを滅茶※[#二の字点、1−2−22]※[#二の字点、1−2−22]に撲たれたため一時は気絶までも為たれ、保証《うけあひ》大したことは無い由、見たくば一寸覗いて見よ、と先に立つて導く後につき行くお吉、三畳ばかりの部屋の中に一切夢で眠り居る清吉を見るに、顔も頭も膨れ上りて、此様に撲つてなしたる鋭次の酷《むご》さが恨めしきまで可憫《あはれ》なる態《さま》なれど、済んだ事の是非も無く、座に戻つて鋭次に対ひ、我夫《うち》では必ず清吉が余計な手出しに腹を立ち、御上人様やら十兵衞への義
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