んで日除《ひよけ》兼|雨除《あまよけ》というようなものを胴《どう》の間《ま》にしつらってある。何やら火爐《こんろ》だの槃※[#「石+喋のつくり」、第4水準2−82−46]《さら》だのの家具も少し見えている。船頭の老夫《じいさん》は艫《とも》の方に立上《たちあが》って、※[#「爿+戈」、第4水準2−12−83]※[#「爿+可」、80−3]《かしぐい》に片手をかけて今や舟を出そうとしていながら、片手を挙げて、乗らないか乗らないかといって人を呼んでいる。その顔がハッキリ分らないから、大噐氏は燈火《ともしび》を段※[#二の字点、1−2−22]と近づけた。遠いところから段※[#二の字点、1−2−22]と歩み近づいて行くと段※[#二の字点、1−2−22]と人顔《ひとがお》が分って来るように、朦朧《もうろう》たる船頭の顔は段※[#二の字点、1−2−22]と分って来た。膝ッ節《ぷし》も肘《ひじ》もムキ出しになっている絆纏《はんてん》みたようなものを着て、極※[#二の字点、1−2−22]《ごくごく》小さな笠を冠《かぶ》って、やや仰いでいる様子は何ともいえない無邪気なもので、寒山《かんざん》か拾得《じっと
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