観画談
幸田露伴

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)或《ある》人

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)普通人|型《がた》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)段※[#二の字点、1−2−22]

 [#…]:返り点
 (例)嚢中自有[#レ]銭

 [#(…)]:訓点送り仮名
 (例)一[#(ト)]夕立
−−

 ずっと前の事であるが、或《ある》人から気味合《きみあい》の妙《みょう》な談《はなし》を聞いたことがある。そしてその話を今だに忘れていないが、人名や地名は今は既に林間《りんかん》の焚火《たきび》の煙のように、何処《どこ》か知らぬところに逸《いっ》し去っている。
 話をしてくれた人の友達に某甲《なにがし》という男があった。その男は極めて普通人|型《がた》の出来の好い方《ほう》で、晩学ではあったが大学も二年生まで漕ぎ付けた。というものはその男が最初|甚《はなは》だしい貧家に生れたので、思うように師を得て学に就くという訳《わけ》には出来なか
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