に、高清水に籠城《ろうじょう》して居る者も、亦佐沼の城を囲んで居る者も、皆政宗の指図に因って実は働いて居る者であることを語り、能《よ》く政宗が様子を御見留めなされて後に御働きなさるべしと云った。
二人が言は悉皆《しっかい》信ずべきか何様《どう》かは疑わしかったろう。然し氏郷は証拠とすべきところの物を取って、且二人を収容して生証拠とした。もうなまじいに働き出すことは敵に乗ずべきの機を与えるに過ぎぬ。木村父子を一揆《いっき》が殺す必要も無く政宗が殺す必要も無いことは明らかだから、焦慮する要は無い。却《かえ》って此城に動かずに居れば政宗も手を出しようは無い、と高清水攻を敢てせずに政宗の様子のみに注意した。伊賀衆は頻《しき》りに働いたことだろう。
氏郷は兵粮《ひょうろう》を徴発し、武具を補足して名生に拠るの道を講じた。急使は会津へ馳《は》せ、会津からは弾薬を送って来た。政宗は氏郷が動かぬのを見て何とも仕難かった。自分に有理有利な口実があって、そして必勝|鏖殺《おうさつ》が期せるので無ければ、氏郷に対して公然と手を出すのは、勝っても負けても吾身《わがみ》の破滅であるから為す術《すべ》は無かっ
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