花のいろ/\
幸田露伴
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)賢《さか》しげにいふ人は、
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)心|敦《あつ》げなる
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「※」は「均のつくり」、読みは「にほひ」、第3水準1−14−75、123−2]ひ
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)花のいろ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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梅
梅は野にありても山にありても、小川のほとりにありても荒磯の隈にありても、たゞおのれの花の美しく香の清きのみならず、あたりのさまをさへ床しきかたに見さするものなり。崩れたる土塀、歪みたる衡門、あるいは掌のくぼほどの瘠畠、形ばかりなる小社などの、常は眼にいぶせく心にあかぬものも、それ近くにこの花の一ト木二タ木咲き出づるあれば、をかしきものとぞ眺めらるゝ。たとへば徳高く心清き人の、如何なるところにありても、其居るところの俗には
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