以《もっ》て命じて之を出《いだ》さしむ。衍|頓首《とんしゅ》して謝し、尋《つい》で卒すと。篋中《きょうちゅう》の朱書、道士の霊夢、王鉞《おうえつ》の言、呉亮《ごりょう》の死と、道衍の請《こい》と、溥洽の黙《もく》と、嗚呼《ああ》、数たると数たらざると、道衍|蓋《けだ》し知ることあらん。而《しか》して楡木川《ゆぼくせん》の客死《かくし》、高煦《こうこう》の焦死《しょうし》、数たると数たらざるとは、道衍|袁※[#「王+共」、第3水準1−87−92]《えんこう》の輩《はい》の固《もと》より知らざるところにして、たゞ天|之《これ》を知ることあらん。



底本:「日本の文学3 五重塔・運命」ほるぷ出版
   1985(昭和60)年2月1日初版第1刷発行
底本の親本:「幽秘記」改造社
  1925(大正14)年6月発行
※JIS X 0213にもない文字の一部に、字体表現の参考資料として、「※[#「木+爽」、UCS−6A09、252−3]」のように、Unicodeを添えました。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※疑問箇所の確認にあたっては、底本の親本と、「露伴全集 第六卷」岩波書店、1953(昭和28)年12月20日発行を参照しました。
※底本の「凡例」に「韻文の作品は、原表記・歴史的仮名づかいのままとした。ただし、振仮名は現代表記に改めた。」と記載されています。
※「懐来《かいらい》に在《あ》り 兵三万と」「天に震い 飛矢《ひし》雨の如し。」「城を撃たしむ 城壁破れんとす。」「前半は巵酒《ししゅ》 歓楽、」「武当《ぶとう》 大和山《たいかざん》に」の空白は底本通りにしました。
入力:kompass
校正:しだひろし
2004年11月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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