、戦わずして自ら敗る。二月、韃靼《だったん》の兵|来《きた》りて燕を助く。蓋《けだ》し春暖に至れば景隆の来り戦わんことを慮《はか》りて、燕王の請えるなり。春|闌《たけなわ》にして、南軍|勢《いきおい》を生じぬ。四月|朔《さく》、景隆兵を徳州《とくしゅう》に会す、郭英《かくえい》、呉傑《ごけつ》は真定《しんてい》に進みぬ。帝は巍国公《ぎこくこう》徐輝祖《じょきそ》をして、京軍《けいぐん》三万を帥《ひき》いて疾馳《しっし》して軍に会せしむ。景隆、郭英、呉傑|等《ら》、軍六十万を合《がっ》し、百万と号して白溝河《はくこうが》に次《じ》す。南軍の将|平安《へいあん》驍勇《ぎょうゆう》にして、嘗《かつ》て燕王に従いて塞北《さいほく》に戦い、王の兵を用いるの虚実を識《し》る。先鋒《せんぽう》となりて燕に当り、矛《ほこ》を揮《ふる》いて前《すす》む。瞿能《くのう》父子も亦《また》踴躍して戦う。二将の向《むか》う所、燕兵|披靡《ひび》す。夜、燕王、張玉《ちょうぎょく》を中軍に、朱能《しゅのう》を左軍に、陳亨《ちんこう》を右《ゆう》軍に、丘福《きゅうふく》を騎兵に将とし、馬歩《ばほ》十余万、黎明《れいめ
前へ 次へ
全232ページ中100ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
幸田 露伴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング