》を誅せんとしゝに効《なら》わんと欲したもうと申す。今大王北平に拠《よ》りて数群を取りたもうと雖《いえど》も、数月《すうげつ》以来にして、尚《なお》※[#「くさかんむり/最」、第4水準2−86−82]爾《さつじ》たる一隅の地を出《い》づる能わず、較《くら》ぶるに天下を以てすれば、十五にして未だ其《その》一《いつ》をも有したまわず。大王の将士も、亦疲れずといわんや。それ大王の統《す》べたもう将士も、大約三十万には過ぎざらん。大王と天子と、義は則《すなわ》ち君臣たり、親《しん》は則ち骨肉たるも、尚《なお》離れ間《へだ》たりたもう、三十万の異姓の士、など必ずしも終身困迫して殿下の為に死し申すべきや。巍《ぎ》が念《おもい》こゝに至るごとに大王の為に流涕《りゅうてい》せずんばあらざる也。願わくは大王臣が言《ことば》を信じ、上表《じょうひょう》謝罪し、甲を按《お》き兵を休めたまわば、朝廷も必ず寛宥《かんゆう》あり、天人共に悦《よろこ》びて、太祖在天の霊も亦《また》安んじたまわん。※[#「にんべん+淌のつくり」、第3水準1−14−30]《もし》迷《まよい》を執りて回《かえ》らず、小勝を恃《たの》み、
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