]刺※[#「執/糸」、UCS−7E36、293−5]《ししつ》し、備《つぶ》さに苦毒を極め、迫りて臣|不軌《ふき》を謀ると言わしめ、遂に宋忠、謝貴、張※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]等を北平城の内外に分ち、甲馬は街衢《がいく》に馳突《ちとつ》し、鉦鼓《しょうこ》は遠邇《えんじ》に喧鞠《けんきく》し、臣が府を囲み守る。已《すで》にして護衛の人、貴※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]《きへい》を執《とら》え、始めて奸臣|欺詐《ぎさ》の謀を知りぬ。窃《ひそか》に念《おも》うに臣の孝康《こうこう》皇帝に於《お》けるは、同父母兄弟なり、今陛下に事《つか》うるは天に事うるが如きなり。譬《たと》えば大樹を伐《き》るに、先ず附枝《ふし》を剪《き》るが如し、親藩既に滅びなば、朝廷孤立し、奸臣志を得んには、社稷《しゃしょく》危《あやう》からん。臣|伏《ふ》して祖訓を覩《み》るに云《い》えることあり、朝《ちょう》に正臣無く、内に奸悪あらば、則《すなわ》ち親王兵を訓して命を待ち、天子|密《ひそ》かに諸王に詔《みことのり》し、鎮兵を統領して之を討平せしむと。臣謹んで俯伏《ふふく》して命を俟《ま》
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