称し、道衍《どうえん》を帷幄《いあく》の謀師とし、金忠《きんちゅう》を紀善《きぜん》として機密に参ぜしめ、張玉、朱能、丘福《きゅうふく》を都指揮|僉事《せんじ》とし、張※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]部下にして内通せる李友直《りゆうちょく》を布政司《ふせいし》参議《さんぎ》と為《な》し、乃《すなわ》ち令を下して諭して曰く、予は太祖高皇帝の子なり、今|奸臣《かんしん》の為に謀害せらる。祖訓に云《い》わく、朝《ちょう》に正臣無く、内に奸逆《かんぎゃく》あれば、必ず兵を挙げて誅討《ちゅうとう》し、以《もっ》て君側の悪を清めよと。こゝに爾《なんじ》将士を率いて之を誅せんとす。罪人既に得ば、周公の成王《せいおう》を輔《たす》くるに法《のっ》とらん。爾《なんじ》等《ら》それ予が心を体せよと。一面には是《かく》の如くに将士に宣言し、又一面には書を帝に上《たてまつ》りて曰く、皇考太祖高皇帝、百戦して天下を定め、帝業を成し、之を万世に伝えんとして、諸子を封建したまい、宗社を鞏固《きょうこ》にして、盤石の計を為《な》したまえり。然《しか》るに奸臣《かんしん》斉泰《せいたい》黄子澄《こうしちょう》
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