し、天下何事か為す可《べ》からざらんや、と奮然として瓜を地に擲《なげう》てば、護衛の軍士皆激怒して、前《すす》んで※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]と貴とを擒《とら》え、かねて朝廷に内通せる葛誠《かつせい》盧振《ろしん》等《ら》を殿下に取って押《おさ》えたり。王こゝに於《おい》て杖を投じて起《た》って曰く、我何ぞ病まん、奸臣《かんしん》に迫らるゝ耳《のみ》、とて遂に※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]貴等を斬《き》る。※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]貴等の将士、二人が時を移して還《かえ》らざるを見、始《はじめ》は疑い、後《のち》は覚《さと》りて、各《おのおの》散じ去る。王城を囲める者も、首脳|已《すで》に無くなりて、手足《しゅそく》力無く、其兵おのずから潰《つい》えたり。張※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]《ちょうへい》が部下|北平都指揮《ほくへいとしき》の彭二《ほうじ》、憤慨|已《や》む能《あた》わず、馬を躍らして大《おおい》に市中に呼《よば》わって曰く、燕王反せり、我に従って朝廷の為に力を尽すものは賞あらんと。兵千余人を得て端礼門《たんれいもん》に殺
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