え》る。都御史《とぎょし》暴昭《ぼうしょう》、燕邸《えんてい》の事を密偵して奏するあり。北平の按察使《あんさつし》僉事《せんじ》の湯宗《とうそう》、按察使《あんさつし》陳瑛《ちんえい》が燕の金《こがね》を受けて燕の為に謀ることを劾《がい》するあり。よって瑛《えい》を逮捕し、都督|宗忠《そうちゅう》をして兵三万を率《ひき》い、及び燕王府の護衛の精鋭を忠の麾下《きか》に隷《れい》し、開平《かいへい》に屯《とん》して、名を辺に備うるに藉《か》り、都督の耿※[#「王+獻」、UCS−74DB、284−4]《こうけん》に命じて兵を山海関《さんかいかん》に練り、徐凱《じょがい》をして兵を臨清《りんせい》に練り、密《ひそか》に張※[#「日/丙」、第3水準1−85−16]《ちょうへい》謝貴《しゃき》に勅して、厳に北平《ほくへい》の動揺を監視しせしむ。燕王此の勢を視《み》、国に帰れるより疾《やまい》に托《たく》して出でず、之《これ》を久しゅうして遂に疾《やまい》篤《あつ》しと称し、以て一時の視聴を避《さ》けんとせり。されども水あるところ湿気無き能《あた》わず、火あるところは燥気《そうき》無き能わず、六月に
前へ 次へ
全232ページ中62ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
幸田 露伴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング