CS−5E59、274−11]《いばく》の中に居《お》く。燕王の心胸もとより清からず、道衍の瓜甲《そうこう》も毒ありというべし。道衍|燕邸《えんてい》に至るに及んで袁※[#「王+共」、第3水準1−87−92]《えんこう》を王に薦む。袁※[#「王+共」、第3水準1−87−92]は字《あざな》は廷玉《ていぎょく》、※[#「覲」の「見」に代えて「おおざと」、第4水準2−90−26]《きん》の人にして、此《これ》亦《また》一種の異人なり。嘗《かつ》て海外に遊んで、人を相《そう》するの術を別古崖《べつこがい》というものに受く。仰いで皎日《こうじつ》を視《み》て、目|尽《ことごと》く眩《げん》して後、赤豆《せきとう》黒豆《こくとう》を暗室中に布《し》いて之を弁《べん》じ、又五色の縷《いと》を窓外に懸け、月に映じて其《その》色を別って訛《あやま》つこと無く、然《しか》して後に人を相す。其法は夜中を以て両炬《りょうきょ》を燃《もや》し、人の形状|気色《きしょく》を視《み》て、参するに生年|月日《げつじつ》を以てするに、百に一|謬《びょう》無く、元末より既に名を天下に馳《は》せたり。其の道衍《どうえん》
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