て天子、数なり、と仰《おお》[#ルビの「おお」は底本では「おおせ」]せあり。帝の諱《いみな》は允※[#「火+文」、第4水準2−79−61]《いんぶん》、応文《おうぶん》の法号、おのずから相応ずるが如し。且つ明《みん》の基《もとい》を開きし太祖高皇帝はもと僧にましましき。後にこそ天下の主となり玉《たま》いたれ、元《げん》の順宗《じゅんそう》の至正《しせい》四年|年《とし》十七におわしける時は、疫病|大《おおい》に行われて、御父《おんちち》御母兄上幼き弟皆|亡《う》せたまえるに、家貧にして棺槨《かんかく》の供《そなえ》だに為《な》したもう能《あた》わず、藁葬《こうそう》という悲しくも悲しき事を取行《とりおこな》わせ玉わんとて、仲《なか》の兄と二人してみずから遺骸《いがい》を舁《か》きて山麓《さんろく》に至りたまえるに、※[#「糸+更」、第4水準2−84−30]《なわ》絶えて又|如何《いかん》ともする能《あた》わず、仲の兄|馳《はせ》還《かえ》って※[#「糸+更」、第4水準2−84−30]を取りしという談だに遺《のこ》りぬ。其の仲の兄も亦《また》亡せたれば、孤身|依《よ》るところなく、遂《つ
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