より投じて死す。季弟《きてい》孝友《こうゆう》また逮《とら》えられて将《まさ》に戮《りく》せられんとす。孝孺之を目して涙《なんだ》下りければ、流石《さすが》は正学の弟なりけり、
[#ここから2字下げ]
阿兄《あけい》 何ぞ必ずしも 涙|潜々《さんさん》たらむ、
義を取り 仁を成す 此《この》間《かん》に在り。
華表《かひょう》 柱頭《ちゅうとう》 千歳《せんざい》の後《のち》、
旅魂《りょこん》 旧に依《よ》りて 家山《かざん》に到らん。
[#ここで字下げ終わり]
と吟じて戮《りく》せられぬ。母族|林彦清《りんげんせい》等《ら》、妻族|鄭原吉《ていげんきつ》等《ら》九族既に戮せられて、門生等まで、方氏《ほうし》の族として罪なわれ、坐死《ざし》する者およそ八百七十三人、遠謫《えんたく》配流《はいる》さるゝもの数う可からず。孝孺は終《つい》に聚宝門外《しゅうほうもんがい》に磔殺《たくさつ》せられぬ。孝孺|慨然《がいぜん》、絶命の詞《し》を為《つく》りて戮に就《つ》く。時に年四十六、詞に曰く、
[#ここから2字下げ]
|天降[#二]乱離[#一]兮孰知[#二]其由[#一]《てんらんりをく
前へ
次へ
全232ページ中192ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
幸田 露伴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング