に異議を為して、以て学者を惑わす。是を訓詁《くんこ》の蠹《と》という。道徳の旨を知らず、雕飾《ちゅうしょく》綴緝《てっしゅう》して、以て新奇となし、歯を鉗《かん》し舌を刺《さ》して、以て簡古と為し、世に於《おい》て加益するところ無し。是を文辞《ぶんじ》の蠹《と》という。四者|交々《こもごも》作《おこ》りて、聖人の学|亡《ほろ》ぶ。必ずや諸《これ》を身に本《もと》づけ、諸を政教に見《あら》わし、以て物《もの》を成す可き者は、其《そ》れ惟《ただ》聖人の学|乎《か》、聖道を去って而《しこう》して循《したが》わず、而して惟《ただ》蠹《と》にこれ帰す。甚しい哉《かな》惑えるや、と。孝孺の此《この》言《げん》に照《てら》せば、鄭暁《ていぎょう》の伝うるところ、実に虚《むな》しからざる也。四箴《ししん》の序の中《うち》の語に曰く、天に合《がっ》して人に合せず、道に同じゅうして時に同じゅうせずと。孝孺の此言に照せば、既に其の卓然として自立し、信ずるところあり安んずるところあり、潜渓先生《せんけいせんせい》が謂《い》える所の、特《ひと》り立って千古を睨《にら》み、万象|昭《てら》して昏《くら》き無しの境
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