身を竦《そばだ》てゝ 雲衢《くものちまた》に入る、
一錫《ひとつのつえ》 游龍《うごけるりゅう》の如し。
笠《かさ》は衝《つ》く 霏々《ひひ》の霧、
衣《い》は払ふ ※[#「風にょう+叟」、第4水準2−92−38]々《そうそう》の風。
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の句あり。身を竦《そばだ》てゝの句、颯爽《さっそう》悦《よろこ》ぶ可《べ》し。其《その》末《すえ》に、
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江天《こうてん》 正に秋清く、
山水 亦《また》容《すがた》を改む。
沙鳥《はまじのとり》は 烟《けむり》の際《きわ》に白く、
嶼葉《しまのこのは》は 霜の前に紅《くれない》なり。
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といえる如《ごと》き、常套《じょうとう》の語なれども、また愛す可《べ》し。古徳と同じゅうせんと欲するは、是《こ》れ仮《か》にして、淮楚《わいそ》浙東《せっとう》に往来せるも、修行の為《ため》なりしや游覧《ゆうらん》の為なりしや知る可からず。然《しか》れども詩情も亦《また》饒《おお》き人たりしは疑う可からず。詩に於《おい》ては陶淵明《とうえんめい》を推《お》し、笠沢《りゅうたく》の舟中《しゅう
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