ず。道衍《どうえん》白《もう》す、虎《とら》を養うは患《うれい》を遺《のこ》すのみと。帝の意|遂《つい》に決す。敬刑せらるゝに臨みて、従容《しょうよう》として嘆じて曰く、変|宗親《そうしん》に起り、略|経画《けいかく》無し、敬死して余罪ありと。神色|自若《じじゃく》たり。死して経宿《けいしゅく》して、面《おもて》猶《なお》生けるが如《ごと》し。三族を誅《ちゅう》し、其《その》家を没するに、家たゞ図書数巻のみ。卓敬と道衍と、故《もと》より隙《げき》ありしと雖《いえど》も、帝をして方孝孺《ほうこうじゅ》を殺さゞらしめんとしたりし道衍にして、帝をして敬を殺さしめんとす。敬の実用の才ありて浮文《ふぶん》の人にあらざるを看《み》るべし。建文の初《はじめ》に当りて、燕を憂うるの諸臣、各《おのおの》意見を立て奏疏《そうそ》を上《たてまつ》る。中に就《つい》て敬の言最も実に切なり。敬の言にして用いらるれば、燕王|蓋《けだ》し志を得ざるのみ。万暦《ばんれき》に至りて、御史《ぎょし》屠叔方《としゅくほう》奏して敬の墓を表し祠《し》を立つ。敬の著すところ、卓氏《たくし》遺書五十巻、予|未《いま》だ目を寓《ぐ
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