《しか》るべきものあるか。鄒公《すうこう》瑾《きん》等《ら》十八人、殿前に於《おい》て李景隆《りけいりゅう》を殴《う》って幾《ほとん》ど死せしむるに至りしも、亦《また》益無きのみ。帝、金川門《きんせんもん》の守《まもり》を失いしを知りて、天を仰いで長吁《ちょうく》し、東西に走り迷《まど》いて、自殺せんとしたもう。明史《みんし》、恭閔恵《きょうびんけい》皇帝紀に記す、宮中火起り、帝終る所を知らずと。皇后|馬氏《ばし》は火に赴いて死したもう。丙寅《へいいん》、諸王及び文武の臣、燕王に位に即《つ》かんことを請う。燕王辞すること再三、諸王|羣臣《ぐんしん》、頓首《とんしゅ》して固く請う。王|遂《つい》に奉天殿《ほうてんでん》に詣《いた》りて、皇帝の位に即く。
 是《これ》より先|建文《けんぶん》中、道士ありて、途《みち》に歌って曰《いわ》く、

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燕《えん》を逐《お》ふ莫《なか》れ、
燕を逐ふ莫れ。
燕を逐へば、日に高く飛び、
高く飛びで、帝畿《ていき》に上《のぼ》らん。
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 是《ここ》に至りて人|其《その》言の応を知りぬ。燕王今は帝《てい》たり
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