焚《や》く。軍資器械、倶《とも》に※[#「火+畏」、第3水準1−87−57]燼《かいじん》となり、河水|尽《ことごと》く熱きに至る。京師これを聞きて大に震駭《しんがい》す。
 七月、平安《へいあん》兵を率いて真定より北平に到り、平村《へいそん》に営す。平村は城を距《さ》る五十里のみ。燕王の世子《せいし》、危《あやう》きを告ぐ。王|劉江《りゅうこう》を召して策を問う。江|乃《すなわ》ち兵を率いて※[#「濾」の「思」に代えて「乎」、第4水準2−79−10]沱《こだ》を渡り、旗幟《きし》を張り、火炬《かきょ》を挙げ、大《おおい》に軍容を壮《さかん》にして安と戦う。安の軍敗れ、安|還《かえ》って真定に走る。
 方孝孺の門人|林嘉猷《りんかゆう》、計《はかりごと》をもって燕王父子をして相《あい》疑わしめんとす。計《けい》行われずして已《や》む。
 盛庸等、大同《だいどう》の守将|房昭《ぼうしょう》に檄《げき》し、兵を引いて紫荊関《しけいかん》に入り、保定《ほてい》の諸県を略し、兵を易州《えきしゅう》の西水寨《せいすいさい》に駐《とど》め、険《けん》に拠《よ》りて持久の計を為《な》し、北平を窺《う
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