見亦高しというべし。成は是《かく》の如き人なり。旗を見るや、愴然《そうぜん》として之を壮《そう》とし、涙下りて曰く、臣|少《わか》きより軍に従いて今老いたり、戦陣を歴《へ》たること多きも、未《いま》だ嘗《かつ》て此《かく》の如きを見ざるなりと。水滸伝《すいこでん》中の人の如き成をして此《この》言を為《な》さしむ、燕王も亦悪戦したりというべし。而して燕王の豪傑の心を攬《と》る所以《ゆえん》のもの、実に王の此《こ》の勇往|邁進《まいしん》、艱危《かんき》を冒して肯《あえ》て避けざるの雄風《ゆうふう》にあらずんばあらざる也。
四月、燕兵|大名《だいみょう》に次《じ》す。王、斉泰《せいたい》と黄子澄《こうしちょう》との斥《しりぞ》けらるゝを聞き、書を上《たてまつ》りて、呉傑《ごけつ》、盛庸《せいよう》、平安《へいあん》の衆を召還せられんことを乞《こ》い、然《しか》らずんば兵を釈《と》く能《あた》わざるを言う。帝|大理少卿《たいりしょうけい》薛※[#「山/品」、第3水準1−47−85]《せつがん》[#「薛※[#「山/品」、第3水準1−47−85]」は底本では「薜※[#「山/品」、第3水準1−4
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