ごけつ》、平安《へいあん》は、盛庸《せいよう》の軍を援《たす》けんとして、真定《しんてい》より兵を率いて出《い》でしが、及ばざること八十里にして庸の敗れしことを聞きて還りぬ。燕王、真定の攻め難きを以て、燕軍は回出して糧《かて》を取り、営中|備《そなえ》無しと言わしめ、傑等を誘《いざな》う。傑等之を信じて、遂に※[#「濾」の「思」に代えて「乎」、第4水準2−79−10]沱河《こだか》に出づ。王|河《かわ》を渡り流《ながれ》に沿いて行くこと二十里、傑の軍と藁城《ごうじょう》に遇う。実に閏《うるう》三月|己亥《きがい》なり。翌日|大《おおい》に戦う。燕将|薛禄《せつろく》[#「薛禄」は底本では「薜禄」]、奮闘|甚《はなは》だ力《つと》む。王|驍騎《ぎょうき》を率いて、傑の軍に突入し、大呼猛撃す。南軍|箭《や》を飛ばす雨の如《ごと》く、王の建つるところの旗、集矢《しゅうし》蝟毛《いもう》の如く、燕軍多く傷つく。而《しか》も王|猶《なお》屈せず、衝撃|愈《いよいよ》急なり。会《たまたま》また暴※[#「風にょう+(犬/(犬+犬))、第4水準2−92−41]《ぼうひょう》起り、樹《き》を抜《ぬ》き屋
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