ぜん》として泣きしが、乃《すなわ》ち酒を酌《く》みて同《とも》に盟《ちか》い、死を以て自ら誓い、済南《せいなん》に趨《はし》りてこれを守りぬ。景隆は奔《はし》りて済南に依《よ》りぬ。燕王は勝《かち》に乗じて諸将を進ましめぬ。燕兵の済南に至るに及びて、景隆|尚《なお》十余万の兵を有せしが、一戦に復《また》敗られて、単騎走り去りぬ。燕師の勢|愈《いよいよ》旺《さか》んにして城を屠《ほふ》らんとす。鉄鉉、左都督《さととく》盛庸《せいよう》、右都督《ゆうととく》陳暉《ちんき》等《ら》と力を尽して捍《ふせ》ぎ、志を堅うして守り、日を経《ふ》れど屈せず。事聞えて、鉉を山東布政司使《さんとうふせいしし》と為《な》し、盛庸を大将軍と為《な》し、陳暉を副将軍に陞《のぼ》す。景隆は召還《めしかえ》されしが、黄子澄《こうしちょう》、練子寧《れんしねい》は之を誅《ちゅう》せずんば何を以《もっ》て宗社《そうしゃ》に謝し将士を励まさんと云《い》いしも、帝|卒《つい》に問いたまわず。燕王は済南を囲むこと三月に至り、遂《つい》に下《くだ》すこと能《あた》わず。乃《すなわ》ち城外の諸渓《しょけい》の水を堰《せ》きて灌《
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