そそ》ぎ、一城の士《し》を魚とせんとす。城中|是《ここ》に於て大《おおい》に安んぜず。鉉曰く、懼《おそ》るゝ勿《なか》れ、吾《われ》に計ありと。千人を遣《や》りて詐《いつわ》りて降《くだ》らしめ、燕王を迎えて城に入らしめ、予《かね》て壮士を城上に伏せて、王の入るを侯《うかが》いて大鉄板を墜《おと》して之《これ》を撃ち、又別に伏《ふく》を設けて橋を断たしめんとす。燕王|計《はかりごと》に陥り、馬に乗じ蓋《がい》を張り、橋を渡り城に入る。大鉄板|驟《にわか》に下る。たゞ少しく早きに失して、王の馬首を傷つく。王驚きて馬を易《か》えて馳《は》せて出《い》づ。橋を断たんとす。橋|甚《はなは》だ堅《かた》し。未《いま》だ断つに及ばずして、王|竟《つい》に逸し去る。燕王|幾《ほと》んど死して幸《さいわい》に逃る。天助あるものゝ如し。王|大《おおい》に怒り、巨※[#「石+駁」、UCS−791F、316−5]《きょほう》を以て城を撃たしむ 城壁破れんとす。鉉|愈《いよいよ》屈せず、太祖高皇帝の神牌《しんぱい》を書して城上に懸けしむ。燕王|敢《あえ》て撃たしむる能《あた》わず。鉉又|数々《しばしば》不意に
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