2−17]徳を修めて自から固うす。碁の道、善く勝つ者、毎※[#「※」は二の字点(踊り字)、面区点番号1−2−22、112−17]是の如きの態ある也。
○逡巡儒行し、角を保ち旁に依り、却て自から補続す、敗るゝと雖も亡びず。繆公の智、中庸の方なり。
逡巡は進まざるの貌、儒行は敢行勇為せざるなり。角を保ちは碁局の角を保つをいひ、旁に依りは碁局の辺旁に依るをいふ。大に覇を争はざるも、是の如くにして自から補続すれば、既に必ず死せざるの勢あるを以て、敗ると雖も亡びざる也。繆公は秦の繆公、西陲に拠有して、漸く其大を成せり。中庸の方は上智英略あらざるものの方策なるを言ふ也。
○上に天地の象有り、次に帝王の治あり、中に五覇の権有り、下に戦国の事有り。其の得失を覧れば、古今|略《ほゞ》備はる。
碁の道、局道棊布、天地の象あり。次に虚設予置するところ、古帝前王の治の如し。後に互に雄略大志あるところ、五覇の権有りといふべく、終に攻撃戦闘する、戦国の時の事の如し。故に其の得失の状を覧れば、古今の情状略具備すといふ也。
三 囲棊賦 後漢 馬 融
○略囲棊を観るに、兵を用ゐるに法る。
馬融は博学能文の大儒にして、盧植、鄭玄皆其の徒なり。
○三尺の局を、戦闘の場と為す。士卒を陳し聚めて、両敵相当る。
三尺の局、今に比すれば大に過ぐ。又惟大概をいふのみ、深く怪むに足らず。
○怯者は功無く、貪者は先づ亡ぶ。
怯者は惟守る、守れば則ち足らず。貪者は必ず昧し、昧ければ則ち禍を惹く。二句実に不磨の金言なり。
○先づ四道に拠り、角を保ち傍に依り、辺に縁《よ》り列を遮り、往※[#「※」は二の字点(踊り字)、面区点番号1−2−22、114−5]相望む。
四道は四方と云はんが如し。碁局は四分すべき形勢有り、黒白各先づ四道に拠るをいふ。保角依傍は前に出づ。辺に縁るは字の如し、列を遮るは敵の列を遮る也。往※[#「※」は二の字点(踊り字)、面区点番号1−2−22、114−7]相望むは、敵と我と往※[#「※」は二の字点(踊り字)、面区点番号1−2−22、114−8]相対して同一形勢を取り、子と子と相望むが如き状あるをいふ。相莅むにはあらず、相望見する也。往※[#「※」は二の字点(踊り字)、第3水1−2−22、114−9]相望むの一句四字、無限の情趣有り。
○離※[#「※」は二の字点(踊り字)、面区
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