ているようなものだから、即ち変化生々の大法に反対している。ナニ環をなす気づかいはないのサ。地球の軌道は楕円の環をなしていると君達は思うだろうが大ちがいサ、実は月が地球のまわりを環をなしながら到底《つまり》は大空間に有則螺線を描ていると同じ事に、地球も太陽に従ッて有則螺線を大空間に描いているのサ。即ち自転も螺旋サ。又一年の動きも螺旋サ。有則螺旋を浅薄な考えで見ると環に見えるのサ。イイカネ、いよいよむずかしくなッて来たから中々分るまい。マアしかしこのくらい分らなければ後は中々分らないよ。前からいッて来た通り活動の世界だからネ、どうしても螺旋的の運動に違いないのサ。畢竟《ひっきょう》は螺旋的だから運動が千殊万差の異様をなして長く続くのサ。ソコデ人間の世界に生れて来るのも単に螺旋的にヒョコリと出て来るのサ、そうして人間の意思動作もすべて螺旋的にぐるぐるまわッているのサ。社会の栄枯盛衰も螺旋的にぐるぐるまわッているのだよ。易なんぞというものは感心な奴で、初爻《しょこう》と上爻とが首尾相呼んでぐるぐるとデングリカエシをやッて螺線を描いて六十四|卦《け》だけにコロガリころがッて実はまだいくらにでもコ
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