上げますウ、剪刀《はさみ》、剃刀磨《かみそりとぎ》にイ、一度ウ磨がせましても、二銭とウ三銭とは右から左イ……」
 と賽《さい》の目に切った紙片《かみきれ》を、膝にも敷物にもぱらぱらと夜風に散らして、縞《しま》の筒袖|凜々《りり》しいのを衝《つ》と張って、菜切庖丁に金剛砂《こんごうしゃ》の花骨牌《はながるた》ほどな砥を当てながら、余り仰向いては人を見ぬ、包ましやかな毛糸の襟巻、頬の細いも人柄で、大道店の息子株。
 押並んで、めくら縞の襟の剥《は》げた、袖に横撫《よこなで》のあとの光る、同じ紺のだふだふとした前垂《まえだれ》を首から下げて、千草色の半股引《はんももひき》、膝のよじれたのを捻《ねじ》って穿《は》いて、ずんぐりむっくりと肥《ふと》ったのが、日和下駄で突立《つった》って、いけずな忰《せがれ》が、三徳用大根|皮剥《かわはぎ》、というのを喚《わめ》く。

       五

 その鯉口《こいぐち》の両肱《りょうひじ》を突張《つっぱ》り、手尖《てさき》を八ツ口へ突込《つっこ》んで、頸《うなじ》を襟へ、もぞもぞと擦附けながら、
「小母《おば》さん、買ってくんねえ、小父的《おじき》買いねえ
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