妖魔の辻占
泉鏡花

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)文政《ぶんせい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|間《げん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1−91−26]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぶる/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

        一

 伝へ聞く……文政《ぶんせい》初年の事である。将軍家の栄耀《えよう》其極《そのきょく》に達して、武家の代《よ》は、将《まさ》に一転機を劃《かく》せんとした時期だと言ふ。
 京都に於て、当時第一の名門であつた、比野大納言資治卿《ひのだいなごんやすはるきょう》(仮)の御館《みたち》の内に、一日《あるひ》偶《ふ》と人妖《じんよう》に斉《ひと》しい奇怪なる事が起つた。
 其《そ》の年、霜月《しもつき》十日は、予《かね》て深く思召《おぼしめ》し立つ事があつて、大納言卿、私《わたくし
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