旅僧
泉鏡花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)去《い》にし年《とし》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|人《にん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《まは》る

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)まづ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

        上

 去《い》にし年《とし》秋《あき》のはじめ、汽船《きせん》加能丸《かのうまる》の百餘《ひやくよ》の乘客《じようかく》を搭載《たふさい》して、加州《かしう》金石《かないは》に向《むか》ひて、越前《ゑちぜん》敦賀港《つるがかう》を發《はつ》するや、一天《いつてん》麗朗《うらゝか》に微風《びふう》船首《せんしゆ》を撫《な》でて、海路《かいろ》の平穩《へいをん》を極《きは》めたるにも關《かゝ》はらず、乘客《じようかく》の面上《めんじやう》に一片《いつぺん》暗愁《あんしう》の雲《くも》は懸
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