木の子説法
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)鱧《はも》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)毛利|一樹《いちじゅ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「魚+是」、第4水準2−93−60]
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「――鱧《はも》あみだ仏《ぶつ》、はも仏と唱うれば、鮒《ふな》らく世界に生れ、鯒《こち》へ鯒へと請《しょう》ぜられ……仏と雑魚《ざこ》して居べし。されば……干鯛《ひだい》貝らいし、真経には、蛸《たこ》とくあのく鱈《たら》――」
……時節柄を弁《わきま》えるがいい。蕎麦《そば》は二銭さがっても、このせち辛さは、明日の糧を思って、真面目《まじめ》にお念仏でも唱えるなら格別、「蛸とくあのく鱈。」などと愚にもつかない駄洒落《だじゃれ》を弄《もてあそ》ぶ、と、こごとが出そうであるが、本篇に必要で、酢にするように切離せないのだから、しばらく御海容を願いたい。
「……干鯛かいらいし……ええと、蛸とくあのく鱈、三百三もんに買うて、鰤菩薩《ぶり
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